熱中症防止システムがなぜバズらないのか?
2020年の熱中症による死傷者数は215人。死亡は7人。全産業の25%となり各現場では毎年梅雨明けから盆休みまでの3週間ほどの間、熱中症に関する警戒レベルを上げます。これらの対策に応じて熱中症対策システムがプレスリリースされるが採用された現場は極少数である。これだけ緊急の課題である熱中症対策のシステムが採用されないのか現場監督の目線で検証してみたいと思います。
熱中症対策はバイタルチェックではない?
このようなシステムの特徴はウェアラブル危機を取り付け、全作業員のバイタルのデータベース化、WBGT値のアラート機能で熱中症になりそうな人を早期発見することである。これは医療機関のシステム概念であり建設現場の概念にはあてはまらないと思います。
では、建設現場で行われる熱中症対策とは?
建設現場の概念はデータ異常のアラートからの対策GOではなく、事前にリスクの抽出してその防止策を施すという事前対策が基本である。暑いのは当たり前なので一人一人のバイタルの把握などは対策にはならないし、常識ある職人ならこの時期は体調管理に万全をきたす。熱中症になる作業員は1シーズン数人である現状で、バイタルデータ収集にお金をかけるなら、現場のいたるところに冷たい水を飲めるところとか製氷機をおいたり、エアコンがガンガン効いた仮設ハウスを置いて作業員が体調に合わせていつでも涼める機会を増やしたほうが対策としては有効である。
何かが起こってからでなく、起こらないようにするのがしごと
このようなシステムの失敗は建設現場のロジックではなく、医療現場のロジックで作ってしまったことである。現場監督でなく看護師さんの概念で作ってしまったことである。われわれ現場監督のしごとのプライオリティーは熱中症でたおれる作業員を極力出さないのが目的であって、熱中症になった人間を見つけることに重きを置いてるわけでない。万が一熱中症になった作業員を早期に見つけるために単独作業は基本禁止している。熱中症になった作業員を早期発見するのも大事だが、その前に熱中症を未然に防ぐためにさまざまな設備を施すのに予算を使うのが建設現場のロジックである。建設現場の熱中症対策の現実を知らないままシステム開発をしてしまったツケだろう。
ちなみに熱中症になる人にどんな特徴があるか?
①寝不足
②二日酔い
③朝ごはん食べてない
この3つにあてはまる人を朝礼時に見つけ出し、重点的に管理するか帰ってもらうのが一番有効である。
現場の実情をよく調べてから作りましょう
システムを開発する企業は建設業界外がほとんどであり、建設現場に入ったことさえない人がほとんどではないか?ペルソナ設定をきちんと行い、①誰が楽になって②誰が喜んで③決裁権者(現場の所長)にどんなベネフィットを与えられるのかのフレームワークをきちんと行いながら開発を進めましょう。
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